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見積もりを送るだけで仕事が決まれば楽ですが、実際は商談や打合せを行ない、双方が納得した上で案件が決まることが一般的ですよね。しかし納得した上で契約したはずなのに、契約後にこんなはずじゃなかったといった事があります。そうなってしまう一番の理由は質問にあるんです。
あなたは自分のことを知っていますか?
と、急に聞かれても答えにくいですね(笑)ではこれではどうでしょうか?
あなたは自分が「何を知らないか」知っていますか?
横山さん
しかし、こう思われる方はこの記事を読むと、もしかしたら新しい見方に気が付くかもしれません。
「私は知らないことを知っている」とはソクラテスの言葉ですが、実はこれって営業でも全く同じことが言えます。商談の中で案件の詳細を詰めている際、実はお客さん自身が何を知りたいのか、自分たちで分かっていないということが往々にしてあります。
この記事ではコンサルだけでなく、士業やコーチの方が商談や営業時に商品やサービスの説明よりも、クライアントへ質問をし、話を引き出す方が契約に結びつく理由を説明しますので、是非とも最後までお読み下さい。
この記事の目次
コンサルが営業時に質問をする背景
コンサルという言葉はビジネスでも頻繁に使われますが、あなたはどのような仕事内容かご存知ですか?
コンサルには二種類ある
コンサルは大きく分けると二種類あります。前者は知識やノウハウを教えるコンサルタント。後者は悩みや課題の原因を一緒に探し、解決方法を導くコンサルタントです。
一般的にコンサルティング営業を行なったり、戦略コンサルと呼ばれる方は、後者のコンサルになります。前者のコンサルはウェブ業界に多いのですが、ここでは本筋ではないので説明は省きます。
コンサルの最も大きな仕事は、クライアントの悩みや課題の原因を突き止めることです。それが分からなければ、解決方法を見つけることは出来ません。悩みや課題は根っこにある様々な原因や要因が絡み合い、その結果として表に出ています。
そして大半のクライアントは課題の詳細、そしてその原因を自分たちは正しく認識していると考えています。
このような状況でクライアントはあなたのようなコンサルや士業、コーチなどの専門家に問合せをしてきます。
クライアントも分かっていない
商談において、まずはクライアントの話を聞きますよね。
ここで重要なことがあります。あなたも経験があると思いますが、多くの場合、クライアントの話は表面的な話、もしくは自社の課題や悩みの本質を隠した話をしてきます。
理由は様々あると思いますが、一番の理由はクライアント自身が本質を分かっている気になっているだけで、実際は何も分かっていないためだと思います。課題があることは事実として理解しているものの、課題の詳細や原因は突き詰めていないため、表面的な部分しか見ていないのです。
そのため初期段階のクライアントの話の大半は表面的であり、本質や本音が隠れている内容になってしまうのです。これを整理し、視覚化するスキルが質問です。多角的に質問を投げることで、複雑に絡み合っていた様々な要因を解きほぐし、分かりやすくして行きます。
質問をする3つの理由
案件を受注し続けるコンサルが、課題解決に向けて質問を重視する理由は大きく3つに分かれます。
- 課題を視覚化する
- 信頼度が急速に高まる
- 営業の差別化になる
課題を視覚化する
稼ぐコンサルがなぜ質問を重視するかというと、物事を表面的にしか見ていないクライアントから、課題の本質に繋がる情報を引き出すためです。
大半のクライアントは、自分たちが知らないということを理解していません。それどころか、自分のことは自分が一番知っていると考えています。
そのため様々な切り口で質問を投げ、一緒に考え、情報を共有しながら、クライアントの課題を徐々に洗い出して行きます。これがコンサルティングと呼ばれるものです。
このようなコンサルティングを実際に受けた方は分かると思いますが、この作業を行なうと、自分たちの強みや弱み、課題やその原因といったことが、驚くほど見えてくるようになります。それらのポイントは当事者にとっては当たり前すぎて、特に意識をしたことがなかったというケースが多いのですが、改めて視覚化すると大半のクライアントは驚きます。
表面的な部分しか見ていなかったクライアントが、初めて自分たちの本質に気が付くということが大きなポイントなんです。
こちらの記事も質問力の参考になりますのでお読み下さい。

信頼度が急速に高まる
そしてこの過程でクライアントの信頼度が高まるということも、受注やリピートに繋がる大きなポイントです。
このようなコンサルティングは誰でも提供できるスキルではないため、大半のクライアントは初めて受けるというケースが多いです。そして自分を理解するために一生懸命になっている姿に対して、強い共感を持ってくれます。
人間は誰しも承認欲求があります。自分に関心を持ってくれる人に対しては、心理的なガードを無意識に下げてしまう傾向があります。関心を持っていると伝える一番の方法は質問です。特に個人的な考えについての質問は、距離を縮める一番のツールです。
たとえばあなたが車を買おうとディーラーに行ったと考えて下さい。多分頭の中で、購入する車種はある程度決まっていると思います。そして店内で営業担当者と話をすると思いますが、この二人の担当でしたら、あなたはどちらの担当から購入したいと思いますか?
どの車種をご希望ですか?
ご予算は?
カラーは?
当店で人気があるのはこちらです!
お値引きはこのくらいです!
営業担当A
営業担当B
今乗られてるお車は何ですか?
買い換えようと思ったきっかけは?
ご本人様以外に運転される方はいますか?
年間どの程度運転されていますか?
車を買い替える頻度はどの程度で考えていますか
この質問は分かりやすく書いただけですが、商品やサービスについての説明ではなく、専門家であるあなたに問合せをしてきた理由を理解するために、一生懸命親身になっている姿にクライアントは共感してくれます。
逆にこの過程を省いて予算だけで決めるクライアントの場合、後々問題が出てくることが多いので要注意です。
営業の差別化になる
営業の際、商品やサービスの説明を一生懸命する営業担当者は多いですが、クライアントにたくさん話してもらおうとする担当者は少ないです。特にスキルやノウハウ、技術力が強みの仕事の場合、自分たちの強みを強調したいがあまり、メリットや専門的な話ばかりをする人が多いと感じます。
クライアントにとって専門家のスキルやノウハウ、技術力などは正直どうでも良く、それよりも自分たちの課題や悩みを解決できるかどうかだけに興味があります。そのためクライアントが直面している課題や悩みについて、親身になって真剣に考えてくれる専門家に共感するのは当然です。
しかしそのようなコンサルティング力や質問力のある専門家は、非常に少ないのが実情です。だからこそ質問力を鍛えるだけで、競合との営業の差別化に繋がります。
こちらの記事も営業の差別化に参考になりますのでお読み下さい

まとめ
案件が受注できない士業やコンサル、コーチなど専門家の多くは、クライアントの課題や悩みの根っこを知ろうとする努力をしません。そして受注できない理由は自分の専門知識やスキルが足りないためと考え、スキルを高めるセミナーや高額塾に通い続けます。
しかし集客と営業のポイントを理解していなければ、せっかく問合せがあっても受注に結びつけることは出来ません。特に質問力を高め、クライアントの事を知るスキルを身に付けるだけでも、受注率は確実に高まります。
是非ともあなたも営業の際に、質問することを意識してみて下さい。