コンサルティング型営業に向いてる商材は何だと思いますか?

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ここ10年ほど、求人サイトなどでもコンサルティング営業とか提案型営業という名称で営業マンを募集する企業が増えています。しかし実際にコンサルティング営業をやっていた人間からすると、この商材は絶対にコンサルティングスタイルは合わないな、と思える求人も沢山あります。

コンサルティング営業や提案型営業、コンサルタント、こういった職種の名前で営業職の求人をかける企業が増えています。

私は以前、採用案件を中心とした広告制作会社で営業職をやっていましたが、実は求職者の引きをよくするために言葉を変えるのは、求人広告では一般的です。

とくに「コンサルティング」や「コンサルタント」という響きには、泥臭い営業的なイメージが少ないため、ノルマの厳しい営業会社などでは好んで使うことが多いんです

しかし扱う商材によっては、コンサルティング営業では逆に効果が出にくいということを、あなたはご存知でしょうか?

この記事ではコンサルティング型の営業で結果を出しやすい商材、逆に結果が出にくい商材の違いについて説明します。この違いを理解していないと、せっかく質問力を高めても仕事で生かせないことがあるので、是非とも最後までお読み下さいね。

コンサルティング営業とは何か?

そもそもコンサルティング営業とはどのようなものでしょうか?

定義は人それぞれあると思いますが、川崎が考えるコンサルティング営業とは、相手の課題や悩みを見つけ出し、その課題や悩みを解決する方法を提案したり提供することだと考えています。

ここで重要なのが、課題や悩みを見つけ出すという点です。

自分の提供している商品やサービスは、必ずしも全てのクライアントに効果があるとは限りません。そのためクライアントが悩んでいることをしっかりとヒアリングし、自分の商品やサービスを一番活用できる形で提供することが重要です。

つまり

  • クライアントが何かしらの課題や悩みを抱えている
  • それを解決するための商品やサービスを提供している

ということが大前提となるのがコンサルティング営業なんですね。

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クライアントの課題や悩みについて

事業会社で営業をやっていて、クライアントの課題や悩みが何か?なんて事を、全ての営業マンが常に考えている訳ではありません。

なぜなら世の中には課題や悩みを考えなくとも受注できてしまう商品と、考えなくては受注できない商品があるからです。

有形商材と無形商材

商社や卸し業界、メーカーや小売など、形のある商品を扱っている業界ですと、基本的にはクライアントの望む商品で、価格が見合えば受注することは可能です。

つまりクライアントも欲しい商品や必要な商品が事前に分かっているため、商品の機能が適切であり、価格的にもメリットがある提案をすることが大事になります。

しかし広告企画やシステム開発、コンサルティング、保険、金融商品、教育研修、士業など、提案する時点ではプレゼン資料しかない業界、しかも単価が数万、数十万、数百万円以上の業界では、発注する段階でクライアント自身が何を望んでいるのか明確に把握していないことが多々あります。

無形商材を扱っている場合、そのような時にクライアントの抱える課題を明確にする(コンサルティングする)ことで、提案の精度を一気に高めることができます。その結果、受注率や成約率が格段に上がります。

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リクルート式のコンサルティング営業

これは私の経験ですが、広告業界にいた頃に業界最大手D社が競合のコンペで何度も勝ちました。その時にクライアントに「御社が一番うちの事を分かった上で提案してくれた」と良く言われました。

D社の企画は確かにコンセプトや見栄えも(予算も)素晴らしいものでしたが、そもそもクライアントの課題が何であり、何を解決すべきなのかと言う視点が明らかに私の提案よりも劣っていました。

そもそも企画力では専門のプランナーのいるD社に勝てる見込みが無いため、私が力を入れたのがリクルート式のコンサルティング営業だったのです。リクルートは営業が強いと良く言われますが、その理由の一つがこのコンサルティング力です。

私はコンペまでの間、何度もクライアントのもとへ理由をつけて通い、担当者へ様々な質問をぶつけました。そして出てきた回答を書き出し、マーケティングのフレームワークに落とし込み、そこで見えてきたポイントを再度クライアントに質問としてぶつける。これを何度も行ないました。

その過程で実質的にはクライアントと一緒に課題や悩みを視覚化し、それを解決する企画を作り上げて行ったため、コンペの時点ではほぼ出来レースとなっていた訳です。

コンサルティング営業に向く商材、向かない商材

このようにコンサルティング営業に向く商材は、提案販売する時点では形の無い企画やサービスなど無形商材です。なおかつ受注、成約するまでに手間暇もかかるため、単価はある程度高額な商材が向いています。

無形商材を購入するクライアントは、自分に必要なものが明確には分かっていない場合が大半ですので、発注するに当たり心理的な不安を抱えています。

コンサルティングはその心理的な不安を取り除き、あなたを信用してもらうための最適なスキルなんです。そのため足繁く通い、質問やヒアリングを通してクライアントの事を理解する必要があります。

逆に向かないのは形のある物品です。

ほとんどの物品は購入する時点で用途や目的が決まっているため、購入する時点では無形商材と比べると不安要素は多くはありません。それよりもスペックや価格が見合うかどうかが重要になります。

足繁く通うのはヒアリングが目的と言うよりも、関係性を良くすることを目的にした方が良いと思います。

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まとめ

あなたの扱っている商材は、どちらの商材でしょうか?

実は必ずしも物品商材だからといってコンサルティング営業が向かないと言うことはありません。

例えばレクサスなどの高級車やマンションや戸建てなどの不動産などは、形のある物品です。しかしこれらの商材を購入するクライアントは、車や住宅が欲しいと思って購入する訳ではありません。

商品の機能が欲しいのではなく、商品を購入して得られる将来の自分や家族の幸福感や価値観、満足感、達成感に対して高額な費用を支払います。つまり形の無い商品を購入しているのと同じなんですね。そのためコンサルティング営業が必要になります。

このように仮に物品であっても、見せ方や提案の方向性によってはコンサルティングスタイルが向く場合もありますので、まずは商材を多角的な視点で見直してみることを勧めします!