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商品スペックはそれほど変わらず、価格も下がってしまっている成熟市場では、競合他社との差別化は非常に難しいと思います。生き残るためには顧客に選ばれるような差別化が必要ですが、思い切って市場を変えてみるのも一つの手かもしれません。
2018年辺りから企業のリストラの動きが再び激しくなってきました。以前は50代だったラインが40代まで下がっているようです。
その世代になると転職よりも、起業開業を選ぶ人が増えてきます。特にコンサルやコーチは資格も必要ないため、今後はさらに競争が激化するのではないでしょうか。差別化を意識してこなかったコンサルやコーチにとって、価格の安い競合が出てくると、一気に仕事を奪われてしまう可能性があります。
Aさん
こんなことをお考えの方に、是非とも読んでいただきたいのがこの記事です。
成熟業界にいる限り、自社の技術やノウハウを高く売ることは出来ないと考えて、自社の強みを生かしたポジションでビジネスを展開している成功事例を説明します。
この記事の目次
ターゲットを変えて差別化するポジショニング
ポジショニングを成功させる考え方の一つが、思い切って販売先の業界を変えてしまうというアイデアです。
クライアント先も成熟業界であったり、成長が鈍化している業界内の企業の場合、その市場で売上げを伸ばすのは厳しいかもしれません。ならば自社の強みにより強い価値を感じてくれる業界へ向かうのも、自社のポジションを有利に変える一つの戦略です。
自社の顧客を整理する・競合他社も調べる
まずは既存顧客を業界別や規模別、売上げ別など、できる限り細かく分類します。さらに営業に行った際、クライアントの業界動向や競合会社のことをヒアリングします。
次に競合する事務所や会社、そして彼らのクライアント業界についてリサーチします。顧客の業種、顧客企業の規模、顧客のエリア、売上げが伸びている又は落ちている業界といった情報を入手します。
競合調査はプロに依頼しないと難しい場合も多いのですが、それ以外にもご自分でできる方法はあります。例えば同業者やクライアントとこのような話をしたことが無い方も多いと思いますが、何気ない会話の中で聞いてみると、案外興味深い話を教えてくれることが多いです。
情報収集のやり方はこちらの記事が参考になります

それぞれの情報は断片にしか過ぎません。しかし、複数ソースの情報をまとめると、何となくしか把握していなかった自社や周りの状況がはっきりと見えてきます。さらに競合や今まで自分が知らなかった業界の情報を重ね合わせると、あなたの知識や経験が生かせる可能性がある、新しい提案先の業界なども見えてきます。
商品を変える
ターゲットを変える場合、今までと同じ商品やサービスでは対応できない場合もあります。そのような時は異なる切り口で、新しい商品を作るのも良い手です。
例えば私の友人のコンサルタントですが、元々は中小企業向けにホームページ制作の仕事をしていました。しかし自分で対応できる範囲には限界があり、売上げの上限が見えていたそうです。
その時に同業者から話を聞いたり、セミナーに参加して情報収集する中で、会員制のウェブセミナーというビジネスモデルに出会いました。それをきっかけに彼は会員制のウェブ集客セミナー事業へと徐々に舵を切りました。
ホームページ制作というビジネスは既に成熟産業ですが、その中で培ってきたウェブ集客のノウハウが彼にはありました。それを異なる切り口で提供したのが、現在の会員制のウェブ集客セミナー事業ということです。
ヒット商品の開発についてはこちらも参考になります。

細かい市場でNo.1
成熟業界では既に業界内の構造が出来上がっており、どれだけ頑張っても結果が出ないことも多いと思います。
ジリ貧から細かい市場でトップシェアへ
この記事でご紹介する企業は産業用ポンプの製造販売を行なっています。
この企業の商品ジャンルは産業用ポンプ市場の中では比較的小さいものの、絶対的な規模はそこそこあります。しかし業界構造は膠着しており、新規参入組みがほとんどいません。修理やリプレイス顧客を多数抱えているシェア上位企業以外はジリ貧になっています。
この企業は以前は主力商品も顧客業界もシェア上位企業とほぼ被っている、ジリ貧の状態でした。しかし今ではターゲットを絞り込んだ細かい市場に参入、好業績を上げています。
ターゲットを変え、商品も改良を加える
もともと主力商品としてしていた商品は、90年代まではそこそこの単価で販売されていました。しかし2000年代に入り、シェア上企業が工場を増設、安価大量生産体制に入ったことで、一気に顧客の囲い込みが進みました。
その結果、追随できた二番手企業以外は価格では勝負できず、苦境に追い込まれる事態になったのです。
そのような背景の下、この会社は高い精密さを求められる業界を新たなターゲットに絞り込みました。この業界は非常に大きなインフラプロジェクトに関わっており、提案する商品も大幅に改良する必要がありました。しかし単価は以前の商品よりも高額であり、利益率もかなり良いものでした。
この会社は技術開発力には定評があったので、創業時から蓄積してきた技術力を生かした開発改良を進めました。そしてクライアントの要望するクオリティまで改良を重ねたことで、導入が決まったそうです。
ポジションを変えて、売上げも利益率も向上
この企業は現在も以前の主力商品を扱ってはいますが、売上げ比率は20%以下まで下がっています。利益にならない以前の主力商品に見切りを付け、ターゲットを変えたことで、この会社は圧倒的に強いポジションでビジネスをする事が出来るようになりました。
以前は市場はそこそこの規模ではあるものの、大手企業をトップにした業界構造が固定化しており、この会社もその他大勢の中の一社に過ぎませんでした。しかしターゲットを変えたことで、自社の強みである技術力を前面に出せるポジションを確保したのです。
汎用製品ではないため販売台数は多くはありませんが、圧倒的に強い競合メーカーがいなかった事もあり、新しい市場では50%以上のシェアを占めています。利益率も計算をしてみたところ、概算ではありますが相当良いと推測できます。
この実績を元に海外プロジェクトにも積極的に営業を行なっており、海外売上げ高も2010年以降、飛躍的に伸びています。この業界で海外に直接営業を行なっている日系企業は皆無のため、日系企業枠においてはほぼ独占状態です。
しかしこの情報は表には公表されておらず、競合他社には知られていませんでした。もちろんWebサイトにも詳細は掲載されていません。
まとめ
経営危機の大半は売上げ不足によるものと言われています。しかし厳しいからといって全く異なる仕事を始めるのもリスクが大きいし、ノウハウやスキルが無いと難しいですよね。
競合も沢山いて、しかもクライアントの業界的にもあまりよくない場合、ターゲットを変えることで、自分の強みのポジションでビジネスを展開、成功するケースは実は結構多いんです。
あなたも一度自分の棚卸しをして、客観的に強みを探してみてください。そこから情報収集を始めることで、新しい展開のきっかけが掴めるかもしれません。
棚卸しについてはこちらの記事も参考になります
