ネーミングで本当に差別化できる?商品名を変えて売上げを伸ばす方法とは

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以前は売れていたのに、最近は伸び悩んでいる商品ってありませんか?こういった商品をてこ入れするための施策の一つに、ネーミングというやり方があります。しかし必要なポイントを理解せず、安易に行なっても結果は出ません。

商品の名前やパッケージを変えて、商品をてこ入れしよう!と思ったことはありませんか?

顧客からすると商品名も違うしパッケージも違っていれば、別の商品と思われる方もいるので、新規購入意欲が高まる場合もあります。しかし安易にネーミングやリパッケージ(パッケージを変える)をしたからと言って、売上げが必ず上がる訳ではありません。

この記事では商品のネーミングとリパッケージを行い、商品の差別化に成功した事例を元に、ネーミングで差別化を成功させた事例を説明します。

ネーミングと差別化を混同すると失敗する

そもそもネーミングをしたから差別化できたのか、差別化をするためにネーミングをするのか、あなたはどう思われますか?

ネーミングやリパッケージの一番目的は、新しい商品である事をアピールするためです。ではなぜ既存商品と異なることをアピールしたのでしょうか?

一番の理由は売上げをさらに伸ばすためです。

売上げが鈍化してきた既存商品をさらに売るために、商品名を変えたりリパッケージを行ない、目新しさをアピールして拡販をする事が目的です。

つまりそもそも「ある程度は売れていた」、もしくは「過去にヒットした」という前提があって始めて成り立つのがネーミングです。全く知名度がない、売れない商品にはそもそも需要がないので、新たにネーミングしても売上げは上がりません。

商品名を変えるだけで本当に売れるのか?

以前マーケティング関連のセミナーに参加した時、

ネーミングは他社商品との違いを表現すること。何となくのイメージで付けることも可能だが、他社商品との明確な違いを表現したネーミングは強い。

ネーミングはコンセプトや差別化などの商品背景があってはじめて生まれるため、商品背景がない商品で名ネーミングを作るのは至難の業である。

と講師が言っていました。確かにロジックとしてはその通りだと思います。

しかし広告業界で働いていた経験からすると、商品名やキャッチコピーといったネーミングが結果に影響を及ぼすケースは、実際には限りなく少ないと感じます。

例えば広告代理店や広告会社は市場動向やターゲット層、商品の開発背景といった要素を説明し、それらを踏まえた上でコンセプトを作り出し、仰々しいネーミングやキャッチコピーを提案します。しかし実際にそれで大ヒットに繋がる商品は数%もありません。

つまり理論やコンセプトは確かに大事ですが、それは予算の潤沢な大手企業がやることです。士業やコンサルといったスモールビジネスの場合、限られた予算の中でビジネスを成功させるためには、ネーミングを一生懸命考えても意味がありません。

大事なことは文言を変えることではなく、下記の三つのポイントを同時に行なうことです。

ネーミングを成功させる三つのポイント

商品名を変えたりリパッケージをして売上げを伸ばすためには、いくつかの点を考慮して行なう必要があります。

  • ターゲットを変える
  • 商品を一部変える(付け加える)
  • 価格を変える

ターゲットを変える

商品名を変えたところで、既存客は中身を見れば同じだということはすぐに分かってしまいます。また商品を拡販するためには、既存客と同じターゲットに訴求しても客数は増えません。

商品名を変えて拡販するには新たな客層に対して、異なる市場で実績のある企業が新商品を出したと訴求することが一番効果があります。

商品を一部変える(付け加える)

ネーミングを行なう際、同時に商品を新たにすることも必要です。新たな商品といっても、多大なコストをかけてバージョンアップや大幅な改良をする必要はありません。

既存商品に最小限の改良を加える、もしくは無料お試し期間などコストのかからない無形サービスを付けるといった変更で十分です。

価格を変える

ネーミングを行なう時には価格変更も重要です。

新しいターゲットに対して新たにネーミングした商品は、実質的には新商品といっても過言ではありません。そのため既存顧客とは、その商品に対する価値観や価格感が異なる可能性があります。

そのため既存商品よりも価格を上げて提案することも可能です。仮に新しい価格帯で新しい顧客が納得してくれれば、得られる利益はその分大きくなります。

全部を一気に変える必要があるかどうかは競合会社や市場の状況によって変わりますが、ネーミングを行なう際はこの三点を頭に入れておくと良いでしょう。

設備業界向けシステム会社の成功事例

過去に私が調査を行なったシステム会社の主力商品は、設備業界向けの低価格帯ERPパッケージです。この業界のシステム市場は導入企業の年商や規模により、スペックや価格帯である程度住み分けが出来ています。

ネーミングをして売上げを伸ばしたこの会社は、新たな提案先を開拓する際に既存商品に若干の改良を施しました。そして商品名を変え、価格も30%程度上げ、提案先も既存客よりも年商規模が大きい企業に絞込みました。

年商規模が大きい新たなターゲットに対して、それまで提案をしていた競合他社の製品はスペックは高いものの、相場価格も倍以上高いものでした。

このシステム会社のERPパッケージは、スペック的には競合他社の商品よりは劣るものの、必要な機能だけに絞り込んだ点と低コストをアピールしました。その結果、高スペックよりも低コストで導入できることにメリットを感じる企業も多く、新規開拓は順調に進んでいます。

ここで重要なポイントは、この会社は実際は値上げしているにも関わらず、新規客は逆に低コストだと感じているという点です。

まとめ

このように既存商品の商品名を変えるネーミングも、やり方によっては非常に効果があることが、お分かりいただけたと思います。逆にやり方を間違えると、全く無意味な施策になってしまいます。

大事なことは、売れない商品をてこ入れしても売るのは難しいということ。

それよりもすでに実績のたる商品をさらに売るために、販路やターゲットも変えながら戦略的にネーミングを行なえば、既存商品と効果的に差別化して、売上げを更に伸ばすことができます。