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この記事の目次
成約率を上げる質問とは
先日、以前から興味を持っていた、質問を軸にした営業手法を提唱している方の有料セミナーに参加しました。
参加者は保険、求人広告の代理店、メディア、メーカーなど様々な業種の方が20名ほど。
セミナーに参加して感じたのが、質問を定形型の営業トーク術の一つと捉えてる人がかなり多いということ。
実は質問を営業トークの一つとして捉えてしまうと、会話が全く見当違いの方向に進んでしまう恐れがあります。
この記事では質問は営業トークではなく、情報を引き出すマーケティングツールであるという視点から、改めて質問マーケティングの考え方について解説してみます。
成約率を上げる営業のポイント
ヒアリングと営業の違い
そもそも質問型のコミュニケーションを行う目的は何か?
セミナーでは、商談の時に最初は意識して質問をしているんですが、気が付くと商品の説明になってしまうんです、という参加者の方がいらっしゃいました。
もちろん営業である以上、最終的には提案をして、売上げを作ることは絶対に必要。
しかし質問型のコミュニケーションの場合、質問を行うヒアリングフェーズと営業提案のフェーズは明確に分ける必要があります。
質問をする目的は、お客様のことを理解すること。そして最終的には困っていることや課題、悩みを把握すること。
信頼関係を作るツール
お客様のことを一生懸命に理解しようと質問を繰り返し、その中で見えてきた課題や悩みの本質を誰よりも理解できるようになると、必ずお客様との間に固い信頼関係が生まれます。
自分に真剣に向き合ってくれた相手に悪い印象を持つ人はいません。
そのような経過を過ごすと、必ずお客様の方から是非とも提案して欲しいと声がかかります。
なぜならば、お客様自身があなたが最もお客様のことを理解していると分かっているから。
そのフェーズこそ自信を持って営業・提案をするタイミングです。
質問型コミュニケーションを取り入れた営業を行うと成約率が高まる大きな理由は、
質問がお客様のことを理解し、課題や悩みを一緒に解決できるパートナー関係を作れるツールだからです。
売り込みたいが最優先に
しかし実際にはお客様のことよりも、自分の営業予算の具合やスケジュール感を最優先にする営業担当者が多いのです。
その結果、お客様が「もっと話しを聞きたい」というレベルになる前に、商品説明や他社商品との違いや優位性の説明を始めてしまいます。
彼らは頭の中では、お客様のためになる商品だから良さを伝えたいと思っています。
しかし営業担当者として、やはり目の前のお客様に直ぐに「売りたい」「買わせたい」という気持ちが大きくなってしまうため、このような売り込み優先型になってしまう訳です。
良い関係性を維持すること
私も営業でしたので、この気持ちは凄く分かります。しかしお客様はこちらが思う以上にシビアです。
「売りたい」「買わせたい」といった独善的な気持ちは、必ず伝わってしまいます。
ですので、あくまでもお客様が「あなたの提案をもっと聞きたい」と思うようになってから提案をすることが大切になります。
このポイントを理解せず、営業マニュアル通りクロージングを図ろうとすると関係性が悪くなり、その後のアポが取りづらくなる大きな原因になってしまいます。
関係性を良好に保っていれば必ず機会は来ますし、営業や提案できるタイミングは必ず来ます。
お客様のとの関係性を高めるヒントはこの記事


成約率を高める質問
質問の種類
質問には二種類あります。
一つは成約率を高めるために本音を確認する質問。
そしてもう一つは目の前の要望を確認するための質問です。
この違いを理解しないと、成約率を上げることはできません。
本音を探る質問
成約率を高める質問型コミュニケーションで最も必要なことは、お客さんの本音を探ること。
- 何をしたいのか?
- それはなぜか?
- 将来はどうなりたいの?
このような本音を理解し、相手の望みを妨げている課題を洗い出すために質問を使います。
お客様の多くは、表層に見えている課題については理解していますが、その本質的な問題点について、必ずしも把握していません。
つまりその時点で表に見える課題のみを見て、多くの場合、その解決案を求めてきます。
しかし現状の話、課題を解決した後のゴール設定、そして過去の話を深掘りしていくと、お客様が考えているほど課題は単純でないことが分ります。
逆にお客様が当たり前と考えていることが、周りから見たら非常に優れたポイントであるということも多々あります。
質問を通して引き出すのは、全てお客様の本音の部分の話。
今までは聞かれることがなかったため、表面化しなかっただけの深層部分の話を、質問を繰り返すことで引き出します。
これらのポイントを洗いざらい聞き出すと、ようやくお客様の本質的な姿や抱えている課題、そして未来に向けて修正するべきポイントが明確になってゆきます。
この作業を行うことで一番のベネフィットが得られるのは、実は質問をしている人間。なぜならなば、人は自分を理解してくれる人に好印象を持ちます。
つまりお客さんの課題を解決するためのヒアリングではあるものの、同時にお客様を自分のファンにするための行為でもある訳です。
信用して下さいと言って信用してくれる人はいませんが、一生懸命理解しようとしてくれる人に対しては、無意識に信用してしまうのが人間の心理なんです。
要望を確認する質問
では、お客さんの要望を確認する質問とは、どのようなものでしょうか?
例えば取引先から紹介されたベンチャー企業に、OA機器の営業マンが初めて訪問しました。
大半の営業担当者は最初、その会社の業務内容について話を聞きます。
次に月間で使う枚数、カラーの有無、ファックスの有無、スキャンは使うかどうかなど、用途やスペックに関する質問をします。
これらは確かに質問です。
しかしこれはロープレで覚える定形型トークであり、明らかに質問の目的が本音を確認するものとは違います。
ここで聞いているのは、OA機器屋である彼がお客様に売り込む際の顧客情報や、スペックなどの仕様を確認しているだけの質問。
この時点でこの営業マンは、お客さんにとっては営業に来た多数の中の一人でしかありません。
もしここで用途やスペックと言った仕様の質問ではなく、業務内容を更に深堀りしていたらどうでしょうか?
サプライチェーンや受発注のやり方、納期、競合会社などについて質問し、世間話も含めた上でこの会社の状況を聞くことができれば、
今後、自社商品を提案するチャンスは更に広がった可能性があるかもしれません。
しかし初回訪問で、要望確認をしてしまったことで、そのようなチャンスを逃してしまいました。
仕様などお客さんの要望を確認することは大切ですが、それは信頼関係が作れてからで十分です。
しかし信頼関係を築く前に要望確認をしてしまうと、その他大勢の営業担当者と同じく、価格メリット以外の提案はできなくなってしまうんです。
まとめ
要望を確認する質問で取り上げた事例は、某営業コンサルの方がYouTubeで配信していた「良い営業トーク」動画の実例です。
動画では顧客のニーズを汲み取るには質問が大切と伝えていましたが、質問には本音を聞く質問と、要望を確認する質問があります。
初回訪問で全てを完結させようとすると、どうしても要望確認になってしまいます。
その後メールで見積もりを送った後に電話で追いかけても、結局は検討しますという返答だけで案件終了というパターンが圧倒的に多いんです。
しかし初回訪問は情報収集と割り切り、次に訪問するための宿題を作ることを目的にすると、次のアポも簡単に取れるようになります。
訪問を二度三度繰り返し、質問をしながら本音を引き出すコミュニケーションをして行くと、必ずお客さんが課題と考えていることや悩みに繋がるキーワードが出てきます。
そこからが本当の営業のタイミングと考えると、チャンスは広がってゆきます。
成約率を上げるヒントはこの記事が参考になります。


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