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この記事の目次
潜在ニーズを引き出す営業とは
この記事は非常にアクセスが多いのですが、記事が長いため、読みやすく二部に再構成しました。こちらを先に読まれることをお勧めします。


私は年間100名近い営業担当者とお会いして商談を行なっています。
扱う商材によって彼らの営業スタイルは異なりますが、8割以上の営業担当者は自社と自社商品の話だけで終わります。
つまり、私がコンタクトをした理由<ニーズ>を知ろうとしません。
高橋さん
確かにその通りかもしれません。
しかし逆に考えると、ほとんどの営業担当者はそのように考えている訳です。
つまりクライアントが抱える課題や悩みを把握しようともしません。
そのような状況で、あなただけがクライアントの課題を理解し、的確な提案ができるとしたらいかがですか?
この記事では、商談中にクライアントの潜在ニーズの引き出し方を説明します。
商談を売り込む場ではなく、クライアントの課題を聞きだす場と考えるだけで、その後の提案が全く変わってきます。
潜在ニーズが引き出せない理由
潜在ニーズと検索してみると、「引き出し方」や「見つけ方」といったキーワードで多くの人が検索しています。
つまり潜在ニーズは知りたいけれど、そのやり方が分からないと言う方がとても多い証拠。
潜在ニーズと顕在ニーズ
潜在ニーズを知るためには、顕在ニーズについても知る必要があります。
「顕在ニーズ」とは、顧客自身が「これが欲しい」と商品やサービスの必要性をはっきり自覚している状態をいいます。このとき自分の課題は表面化しているので、解決方法を明確に認識しています。
「潜在ニーズ」とは顕在ニーズの裏に隠れた本人も自覚していないニーズです。課題はまだ表面化しておらず、自分が本来何を必要としているかに気づいていない状態をいいます。
引用元:https://www.personalbranding-project.com/howto/branding/article1154
まとめると、潜在ニーズとは自身が気が付いていないニーズ、顕在ニーズは自身が自覚しているニーズ。
潜在ニーズと顕在ニーズは必ず線で繋がっています。
顕在ニーズの根元には必ず潜在ニーズがあり、潜在ニーズを満足させるための解決方法として表面的に現れたのが顕在ニーズという事になります。
なので、表面的な行動を見ているだけでは絶対に分かりません。
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潜在ニーズは課題を解決したいと言う欲求
例えば新規のクライアントが〇〇が欲しいと言ってきました。あなたはこのクライアントの顕在ニーズと潜在ニーズは何か分かりますか?
顕在ニーズは〇〇が欲しいと言う表面的なニーズ。そして潜在ニーズはこういう可能性があります。
- 現在の仕入先から新規の仕入先に変えたい
- 何かがあって、その商品に興味を持った
新規の仕入れ先
前者の場合、「現在の仕入先を変えたい」という思いの裏にあるのが潜在ニーズ。
つまり、そのクライアントが仕入れ先を変えたいと思った理由。
品質が悪くなったのか、価格交渉に応じないのか、担当者の対応が悪いのか、理由は様々。
重要なのは、仕入れ先を変えたいと思った理由を、解決できる相手と取り引きしたいということ。
これがこのクライアントの潜在ニーズ。
更に言うと、それを課題と捉えるに至った理由が最も重要。
顧客からクレームがあったのか、原価を下げろと上司から叱責されたのか、様々な理由があります。
つまり、なぜ仕入先を変えようと思ったのか、その理由を徹底的にヒアリングしないことには潜在ニーズは掴めません。
理由を理解した上で提案できれば、正解を知っているテストのようなもの。
受注できる確率は圧倒的に高くなります。
商品に興味を持った理由
後者の場合、新しい商品に興味を持つに至った理由が必ずあります。
- 扱い商品を増やせと経営陣から指令があった
- 今期は売上げを〇〇%上げろと言われた
- 新規事業を始める等など
重要なことは新規の商品を仕入れることで、どのような結果を想定しているか。
どのような結果を想定しているかで、提案内容は全くが変わります。
- 取扱商品を増やすことが課題ならば、他の商品やセットでの提案もあり得ます
- 売上げを上げることが課題ならば、単価が安くて大量販売できる商品の方が良いかもしれません
- 既存のビジネスは競合他社と価格勝負に陥っており、より利益率の高い新しいビジネスの発見が課題かもしれません
つまりクライアントは商品ではなく、それらの課題を解決したいから連絡をしてきたのです。
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なぜ潜在ニーズが引き出せないのか?
潜在ニーズとは、抱える課題をどうにかして解決したいというクライアントの強い気持ち。
しかし自分の不安や悩みを他人にペラペラと話す人はいません。できることならば触れて欲しくないと思う方もいるでしょう。
そのため潜在ニーズは受身では絶対に知ることはできません。
ですがお客さんがコンタクトを取ってきた理由や、課題や背景を知ろうとする営業担当者はごく僅か。
ほとんどの担当者は潜在ニーズが引き出せないのではなく、そもそも引き出すためのアクションすら取っていません。
記事が長いので、お疲れではないですか?
短めの二部構成版があります、離れる前にこちらをお読み下さい!


潜在ニーズの引き出し方
潜在ニーズを引き出すためには受身ではなく、あなたの方からアクションを取ることが必要です。
ではどんなアクションを取ればよいか?
それは質問です。
しかし単に質問をすれば良いのではなく、相手が答えやすいように順序立てて質問を構成する必要があります。
課題は不明瞭なことが多い
そもそも課題や悩みは不明瞭なことがとても多いもの。
先ほどの事例の場合、クライアントは仕入先を変えたい理由までは明確に言えます。
しかしなその理由を本質的に理解している担当者は恐らくいません。
なぜならば、完全に理解しなくても業務は回ってしまうから。
表面的には仕入先を変えることで、目の前の課題は解決できます。しかし本来の課題は、そのように考えるに至った過程。
例えば品質が悪化した場合、
- 品質改善に対してのコミュニケーションが上手く図れなかった
- 価格的に無理な要求をし過ぎてきた
- 発注側の指示が悪かった 等など
振り返れば諸々の要因が積み重なった結果、品質に問題が出てきた訳です。
しかし現場では、理由を抜本的に理解するための時間も人員もいません。
つまり課題があることは漠然と分かっていても、本質的に理解している人はほとんどいません。
最初は広く、徐々に絞り込んで質問する
このように課題が不明瞭な場合、最初は広く自由に答えられるような質問が最適です。
例えば会話の中で
クライアント
難波さん
この会話の中で難波さんの「何かあったんですか?」と言う質問は、非常に軽い感じですよね。
しかも答えの幅を限定するような細かい聞き方はしていません。
このような間口の広い質問は使いやすいので、最初の切り口としては最適です。
クライアント
難波さん
ここでは難波さんは、今に至るまでの具体的な説明を求めています。
それによりクライアントは必然的に過去の話をし始めます。
つまり会話の内容はクライアントが問題と感じるポイントに絞られて行きます。
クライアント
難波さん
ここで難波さんは更に細かい説明を問いかけました。
具体的にという言葉を使うことで、確実にこの答えの中にはクライアントが重要視しているポイントが入ってきます。
つまり課題(潜在ニーズ)に徐々に近づいてきた訳です。
このように全体的な話しから切り込み、徐々に話しを絞り込んでいくことが、効果的な質問のセオリー。
課題の核心部分は高い確立で不明瞭ですので、結果を最初から求めるような質問は絶対に止めましょう。
本音を引き出す魔法の言葉
質問方法を細かく説明するには、この記事では少なすぎるので、一つだけ最も使いやすい質問ワードを上げておきます。
「それはなぜですか?」
この言葉は企業調査の場面でもとてもよく使いますし、コンサルティングの場でも多用しています。
振り返ってもらいたいのですが、あなたは他人から「なぜですか?」と聞かれた経験ってありますか?
恐らく、非常に少ないのではないでしょうか?
小さな子供は親御さんに「なぜ?」と連発しますが、大人になると「なぜ?」と聞くことも聞かれることも非常に少なくなります。
相手に対して切り込むようなニュアンスが強いため、仕事の場でも日常生活の場でも多用されないのかなと、個人的には考えています。
まとめ
潜在ニーズは引き出すのが難しいのではなく、引き出すためのアクションを取っていない方が多いだけ。
また、潜在ニーズは心の奥で考えている解決したい課題と言われると、分かりやすいと思います。
ビジネスにおいて、質問を明確な意図を持って使うと、このような潜在ニーズを引き出すことが出来ます。
是非ともあなたも次の商談では意識して質問をしてみて下さい。
ニーズを引出す質問はこちらの記事も参考になります。


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