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企業調査を行なう際、私は様々なシチュエーションでアポを取りますが、やはり多いのは商談の形です。そのため今までお会いした営業マンの数は数百名になりますが、敏腕営業マンほど会社説明や商品、サービスの説明はあまりしません。
グーグルで「営業」と検索すると、関連ワードで「営業トーク」「話しが続かない」「話せない」など、話すことについて検索している人が思いのほか多いことが分かります。
私も前職では営業だったので分かりますが、やはりトークが上手い人は営業も上手いように見えますよね。でも本当にトークが上手い営業マンが成績を上げているのでしょうか?
実は、そんなことはありません。
特に提供する商品がサービスなど無形商材の場合、内容を伝えにくいあまり一生懸命説明する営業マンが多い傾向があります。しかし一生懸命になればなるほど成約率は下がって行きます。
この記事では士業やコンサルタント、コーチ業の方が商談の中で、どの程度の割合で自分の話をするべきか分かりやすく説明します。言われて見れば当たり前のことですが、この点をに気付くかどうかで成約率は大きく変わってきます。
この記事の目次
営業成約率と話す割合
士業やコンサル、コーチなどのサービス業の場合、提供する商品はほとんどが無形サービスになると思います。
無形サービスの営業で最も難しいのが、クライアントに何を伝えるべきか、そしてその順番です。このことを理解していないと、営業の場で自分とクライアントの話す割合を間違えてしまい、成約率にも大きく影響が出てしまいます。
クライアントに最初に伝えること
先日、シニア世代の私の親戚が税理士を探していて、区の相談会で紹介された税理士に会いに行ったそうなんです。しかしこの税理士はこちらの話しを一通り聞いただけで、大半は自分とサービスの紹介、そして料金の話で終わったとのことでした。
その親戚は都心に不動産を複数所有しています。実は現在依頼している税理士の動きが悪いため、新しい人を紹介してもらおうと相談会に行ったそうなんですが、結局その税理士にお願いすることはありませんでした。
この場合、彼らは現在の動きが悪い税理士を切り、動きの軽い税理士さんに変えたいという大きな悩みがありました。そしてその下に、個々の用件に対する細かい要望や悩みなどが紐付いています。
もし彼らがわざわざ事務所まで訪問した本当の意図を把握し、悩みの解決に繋がるよう話を色々と聞いてあげれば、その税理士は確実に年間契約が取れたでしょう。また相続に関する業務も契約することができたはずです。
クライアントは、あなたのサービスの質や内容についてはそれほど興味はありません。それよりも自分たちが抱える課題や悩みを解決できるかどうか、興味はこの一点に絞られています。
確かにサービスの内容や価値を伝えることは重要です。
しかしそれはあなたが課題を解決できる人間かどうか、又は信頼できる人間かどうか、クライアントが判断した後に行なうべきであって、優先されるものではありません。
まずはクライアントの課題や悩みを理解できる人間であることを、自身の行動で伝えることが最優先です。
信用と信頼を勝ち取る方法
人に好かれる一番の方法は、相手の話しを聞いてあげることです。
これは例外なく言えることですが、いくら無口の人でも、全く話をしない人はいませんよね。人間には誰しも自分のことを認めてもらいたい、自分の考えを理解してもらいたいといった承認欲求があるそうです。
この傾向は特に女性や技術職の方に強いと個人的には感じてますが、話しを聞いてくれる人に対して、非常に好印象を持ってくれる方が多いです。
つまりクライアントの信用や信頼を勝ち取るためには、あなたの自己紹介や実績アピールなどではなく、まずは相手の話を聞いてあげることが重要です。
ヒアリングについてはこちらの記事も参考になります。

営業マンとクライアントの話す割合
企業調査の現場では商談の形を取ることもあるのですが、最も情報を取りやすいのは最初に会社紹介を始めてくる営業担当者です。逆にやりにくいのは質問をしてくる方です。
会社案内をする営業マン
数百名の営業担当者と会う中で見えてきたことは、最初に会社紹介をしてくる営業マンは、高い確率で商品やサービス説明を長々としてきます。つまり情報を入手したい我々にとっては、質問をぶつけるだけで簡単に内部情報が取れる最適な情報提供者になります。
会話の中で質問をする、大きく頷く、同意する、合いの手を入れるなどテクニックをふんだんに使うことで、彼らは更に積極的に話しをしてくれます。
もうお分かりですよね?
彼らは話したい、認められたいと言う自分の承認欲求を満たしてはいますが、顧客(を装っている)である私の「話したい」という根本的な感情を無視しています。その結果、彼らが商談の中で話しをしている割合は、確実に9割を超えています。
質問をしてくる営業マン
逆に質問をしてくる営業マンはどうでしょうか?
商談の中で質問をしてくる営業マンの大半は、会社紹介はもちろん、商品やサービスの説明もあまりしません。それよりもこちらの課題や悩み、競合との商談状況、予算感といった様々な質問を嫌らしくない程度に会話の中で振ってきます。
そして会話の中で同意や頷きをくり返し、さらに私に話しをさせようとします。
こちらは情報入手が目的ですので、逆にこの展開は非常に困るのですが(笑)、これが普通の営業現場ならば、この営業マンは見込み客の課題や求めている要素を十分ヒアリングできていると思います。
そして一番重要なことが、見込み客の担当者は気持ちよく話しができたことで、少なくとも営業マンに対して悪い印象は持っていません。この関係を作った状況で、次の商談の日程と宿題をその場で決めてしまいます。
ここまでくると完全に営業マンのペースで商談が進んでいきますので、自ずと成約率、受注率は上がることになります。彼らが商談の中で話しをしている割合は、せいぜい2割~3割程度ではないでしょうか。
商談中の質問についてはこちらの記事も参考になります。

まとめ
いかがでしたでしょうか?
大手企業のように既にブランド力と信用力があれば別ですが、個人の看板で無形サービスを提供している方の場合、信頼や信用はゼロと言っても過言ではありません。特に数万円~数十万円以上の単価で継続的なサービスの場合、事前にクライアントから信用や信頼を得ない限り、成約することは至難の業です。
そのような時、確実にクライアントの信用と信頼を得られる方法が、相手の話を聞くことです。
しかし雑談を延々と聞いていても意味がありません。話を聞く目的は、相手の抱える課題や悩みを聞きだすことです。そして相手の話に対して同意し、理解することで信頼を勝ち取ります。その上でサービスを提案すれば、営業成約率は確実に上がって行きます。
皆さんも次の商談から、是非ともこの記事で説明したポイントを意識してみて下さい。それだけで確実に商談の精度が上がることを実感できると思います。